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tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日本にとってリーマンショックとは何だったのか

2018年09月16日 14時40分57秒 | 経済
日本にとってリーマンショックとは何だったのか
 このままでは日本経済はつぶれるなどといわれ、日本経済だけでなく、日本の雇用や社会の在り方にも大きな爪痕を残したリーマンショックから10年がたち、あちこちで「リーマンショック10年」という特集が組まれています。

 それらを拝見していいて、何となく感じてしまうのが、何かすっきりしない違和感です。
 リーマンショックは、アメリカの住宅バブルに乗ったサブプライムローンの盛況、そしてそれを梃子にしてアメリカの経常赤字の資金繰りをつけようとしたアメリカ政府を含めた「サブプライムローンの証券化」、そして危険度の高いその証券にトリプルAの格付けをし、世界中に売ったというアメリカぐるみの資金調達策の破綻の結果と言えるでしょう。

 世界中がアメリカ、格付け会社を信用して証券を購入した結果、格付けが剥げ落ち、証券価格は暴落、販売した金額が巨大だっただけに、 世界の金融機関のB/Sなどに大穴が空き、世界金融恐慌になりかけたわけです。

 この波が日本も襲ったので日本経済も深刻な不況に沈んだという説明が多いのですが、ここはもう少し、正確に説明する必要があるようです。

 確かにアメリカ、ヨーロッパの金融は 大打撃をけたようでしたが、日本の金融業界は1990年初頭のバブル崩壊後の惨状を経験して経営は慎重でしたから、打撃のひどさはまだいくらかましだったようです。

 例えば、野村證券は、倒産したリーマンブラザーズのアジア・ヨーロッパの業務を買い取っています。三菱UFJは窮地にあったモルガンスタンレーに巨額の融資をしています。
 欧米並みの打撃を受けていれば、こんなことは不可能だったでしょう。

 その日本が、震源地のアメリカや大きな打撃を受けたヨーロッパよりも長期にわたる不況、GDPの縮小の憂き目を見なければならなかった主因は、アメリカ証券の価格崩落によるキャピタル・ロスよりも、「アメリカの超金融緩和によって進んだ円高($1=¥120→¥80)だったのです。

 懸念された世界金融恐慌は、かつての世界恐慌を十分勉強したといわれるバーナンキFRB議長の超金融緩和政策で、曲がりなりにも何とか避けられましたが、その中で、円高を放置した日本は日銀が政策を変更するまで、つまり2012~13年まであの円高不況に苦しんだわけです。

 というわけで、いつも気になっているのは、リーマンショックが日本経済に与えた打撃の本質は、アメリカ証券の値下がりによるキャピタル・ロスではなくて、世界金融恐慌を防ぐために取った アメリカの超金融緩策によって引き起こされた円高だという事を確り指摘した説明が殆ど見られないという事です。

 その証拠には、日銀がアメリカに倣って採った異次元金融緩和、具体的には2発の黒田バズーカで、$1=¥120になった途端、 あの円高不況は消えてしまいました

 昔、「アメリカがクシャミをすれば日本は風邪をひく」などと言われたことがありましたが、経済問題の解説は、的確な分析を前提にしないとキチンとして理解を得られないのではないかとの危惧からついついこんなことを書いてしまいまいた。
 この辺りは、政府・日銀をはじめ、政策に種々の見方はあると思いますが、リーマンショック10年、日本はなぜあんなに長期に苦しんだかを振り返って、残念に感じるところです。

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